労働問題

【労働問題について】3/3(全3回)

2017-04-24

すっかり春らしくなり、日差しが気になる季節になりました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。

さて、労働問題の第3回目は、

『会社に電話がかかってくるかもしれないから自分のデスクで昼食を摂るように言われる日があるのですが(いわゆる電話番の場合)、労働時間であるとして給料はもらえるのですか?』

結論からいえば、こういった電話番の場合は労働時間に当たります!給料はもらえます!

電話番をしているということは、その従業員が会社から出て自由に行動をすることができず、いつ来るかわからない仕事のために待機している状態です。

この時間は、労働法の分野では「手待ち時間」と呼ばれています。

「手待ち時間」はたとえ作業をしていなかったとしても、「労働者が使用者の指揮監督のもとにある時間」に当たる場合は休憩時間とはいえず、労働時間としてカウントされます。

~裁判所の考え方~
 すでに結論は述べましたが、
 裁判例では、「手待ち時間」が争われることは非常に多いことです。

 裁判所では、
「労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間を意味するとされています(指揮命令下説)。これは、今日の裁判例で採用されている一般的な考え方です(たとえば、三菱重工業長崎造船所事件)。

・現場作業員が始業時刻前などに作業服を着脱する時間
・タクシー運転手が客待ちをしている時間
・トラック運転手が出勤時刻からトラックの出発までの間にトラックに貨物が積み込まれるのを待機している時間

などの時間が過去の裁判において労働時間かどうか争われています。

使用者の指揮命令下におかれたものと評価することができれば労働時間となります。ですから裁判では「使用者からの指示があればすぐに作業を始めなければならない状況にあること」を証明してくことになります。

この点に関して、前掲三菱重工業長崎造船所事件の最高裁判決は、

『労働者が、就業を命じられた業務の準備行為などを事業所内で行うことを使用者から義務づけられ、またはこれを余儀なくされたときは、当該行為は特段の事情のないかぎり、使用者の指揮命令下におかれたものと評価することができる』との一般論を示しています。

そして、結論として、『作業服および保護具の着脱などが使用者から義務づけられており、しかもそれが事業所内の所定の更衣室で行うこととされていたことから、これらに要する時間は、労基法上の労働時間にあたる』と判示しています。

個々の手待ち時間が労働時間に該当するかどうかは立証の難しい点もありますが、拘束時間が長い業種の場合は労働者の側も心身共に疲弊しますので、労働に見合った対価をもらわなければ身体が続きません。

労働時間や残業代の支払いについて疑問がある場合はぜひ当事務所までご相談ください。

【労働問題について】2/3(全3回)

2017-02-19

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【労働問題について 】2/3(全3回)

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2017年もすっかり経過して2月も中旬です。まだまだ寒い日が続きますが、春へと一歩一歩近づいている今日この頃です。

さて、今回は労働問題についての第二話でお話したいと思います。

第2回目の今回は、『退職勧奨が違法になる場合』についてです。

 

~退職勧奨とは~
「退職勧奨」という言葉を耳にしたことありますか?

言葉のとおり、会社を辞めて欲しいということを会社から求められることです。しかし、大事なのは、退職勧奨されても「労働者の側にこれに応じる義務はない」ということです。それは、退職勧奨とは、会社から、退職を「お願い」される、あるいは、退職するよう「誘っている」という状況にすぎないからです。

ですから、退職勧奨に応じるかどうかは、労働者の意思に完全に委ねられていて、労働者の側で退職の意思がないのであればきっぱりと断ることは何らおかしなことではありません。まずは、このことをしっかりと理解することが肝要です。

~退職勧奨が違法になる場合~
ただし、会社側の立場に立てば、様々な理由によって、労働者に退職を進めることは現実的にはありうることでしょう。正当な理由でもって、適切な説明を行い、一定程度の給料分の手当てがあるのであれば、退職勧奨が違法とはならないでしょう。

しかし、限度を超えた方法で行われると退職の強要となり、「不法行為」となります。法的に「不法行為」と認定されれば、損害賠償請求の対象となります。

例えば、労働者が退職を拒否しているにも関わらず、何回も呼び出し、数人で取り囲んで退職を勧奨するなど、労働者の自由な意思決定を妨げるような方法で行われた場合は違法な退職勧奨(退職強要)となります。

ここで、現実にあった裁判例をご紹介します(東京地方裁判所平成17年10月21日判決)。

とある会社に勤務していた女性が結婚することを会社に報告したところ、会社の社長らから退職勧奨を受け、その手段・方法が極めて不相当であったことから、退職勧奨行為が違法と認められた事例です。

女性は、まず、会社に結婚することを報告しました。すると、社長は、自分の部下に指示して、再度、女性に仕事を続けるのかを確認させています。女性は退職を拒みました。その後、社長は女性を社長室に呼び出しました。

そして、社長は・・

「せっかくの縁を大切にしなさい」

「人の思いやりが理解できないのか」

「結婚式に出られないかもしれない」などと述べました。

さらに、女性と面談した会社の監査役から報告を受けて、女性を、再度、社長室に呼び、女性は勘違いをしているなどと怒鳴り、「脅迫されているみたいです」と述べる女性を、他の社員のいる執務室に連れ出し、さらに叱責を続けました。

社長は、女性の結婚披露宴においても、そのスピーチにおいて、家庭に入り、家庭を大切にするよう、デザイナーとして家庭をデザインし、家庭を作るということにもっと真剣に取り組むようになどと述べています。

このような事実関係のもとにおいて、裁判所は、

一貫して就労の継続を表明している女性に対し、
①その意思を直接間接に繰り返し確認し、他の社員の面前で叱責までしたこと
②披露宴においても、女性の意に沿うものではないことを十分承知の上で自説を述べたこと
をもって、退職勧奨を違法というほかない、と結論づけています。

この裁判例が認めた慰謝料は20万円です。慰謝料の評価は日本の裁判所は低いですので、金額はあまりパッとしません。

しかし、この裁判例の社長のように、『女性は結婚後家庭に入るべき』という考えからか分かりませんが、このようなやりすぎの退職勧奨は損害賠償請求の対象になりますので、会社の社長様・労働者の皆様、ぜひ心にとどめておいてください。

【労働問題について】1/3(全3回)

2016-11-07

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【労働問題について 】1/3(全3回)

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11月に入り、すっかり寒くなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

さて、今回からは労働問題について全3回でお話したいと思います。

第1回目の今日は、
『職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)』についてです。

 

~パワーハラスメントとは~

パワハラとは、
簡単に言ってしまえば、仕事上の上下関係を利用して、人格権侵害を行う言動のことを指します。

みなさん、どうでしょう?
仕事上、上司から注意を受けたり、怒られること・・・普通にありますよね。。

 

~要注意の言動~
ただ、叱責などの行為がすべてダメ(違法)というわけではありません。
度を越えてしまった場合が要注意です。「違法な行為」として、損害賠償請求の対象になってしまいます!

 

特に・・次のような行為は×です。

①暴力(これは犯罪でもあります!)

②言葉・メールなどで人格の否定をすること
けっこうありがちですね。
具体的には名誉棄損侮や侮辱にあたる言動をすること

③仕事からの隔離・仲間外れ、無視(=人間関係からの切り離し)
これもよく聞きますよね((+_+))

④本来の業務と関連性のない無意味な作業や、遂行不能の過度の業務を強要すること
過労死の原因です(―_―)!!

⑤見せしめや報復としての降格・配転をすること

⑥私的なことに過度に立ち入ること(=個の侵害)
場合によってはセクハラ(-“-)

 

~裁判においては?~
パワハラは通常の仕事において、言葉や態度で行われることが多いでしょうから、本気で相手に金銭賠償を求めたり、行為を辞めるよう求めたりするのであれば、録音をしておいたり、メールの文面をプリントアウトして保存しておく、業務上の日誌や個人の日記として書き留めておくことが大事です。

 

弁護士が介入するとすれば、相手に
①交渉(=主に、書面や電話でやり取り。)

②労働審判(=裁判所に持ち込む手続きでありますが、原則3回以内の裁判期日で解決することができ非常に有用な手続き)

③通常の裁判
において、損害賠償などを求めることができますので、職場においてパワハラでお悩みの方は一度弁護士にご相談されるのがよろしいかと思います。

当事務所は初回1時間のご相談は無料でお受けしております。
不安な気持ちを解消するためにもまずはご相談からいかがでしょうか。

それでは、次回は、②退職勧奨についてお話する予定です。

福岡市 労働問題 パラハラ

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