【離婚問題のご相談について 】3/3(全3回)
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【離婚問題のご相談について 】3/3(全3回)
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まだ暑い日も続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
秋も近づいてきている季節の変わり目ですので、体調には気をつけないといけませんね。
さて、離婚シリーズ第3回目は、離婚における慰謝料についてです。
~慰謝料とは?~
法律相談をお受けする中で、離婚に伴い慰謝料請求をしたいというご相談は、非常によくあるご相談です。慰謝料請求の理由は、配偶者の浮気、暴力、暴言、嫁・姑関係から発生したものなど多岐に渡ります。
ところで、慰謝料とは、定義するならば、「精神的苦痛」に対する金銭的な賠償のことをさします。
そして、「精神的苦痛」とは、内心における精神的活動であって、本質的にはきわめて「主観的」な事柄であると言えます。
したがって、ただ『苦しかった』『辛かった』と主張するだけでなく、裁判所を説得して慰謝料を獲得するためには、「客観的」な証拠が必要となります。
~裁判所を説得して慰謝料を獲得するためには?~
裁判所に納得してもらうためには、
『だれがその状況に置かれても精神的苦痛を生じるに違いない』と思わせる客観的・外形的事実をピックアップし、これを裏付ける客観的証拠を示すことが必要です。
例えば、暴力に対する慰謝料であれば、医師の診断書、写真、日記などがあるといいです。不貞行為であれば、女性とのメールやLINEのやり取り、ラブホテルの領収書、写真などの証拠を確保しておくことが重要です。興信所などに裏づけ調査をお願いするのも一つの手です。
~嫁・姑関係~
ところで、慰謝料請求のご相談の中には、夫側の親族との関係で離婚に至るケースも多いところですが、嫁・姑の関係性が理由で離婚に至った裁判例で、興味深い裁判例がありましたのでご紹介いたします。
舅・姑が、いわゆる、「嫁いびり」と思われる行動・言動をしたため、夫とその両親に共同不法行為が成立し、慰謝料支払い義務が認められたという判例(盛岡地方裁判所遠野支部昭和52年1月26日)です。
私も、私生活では、嫁の立場を長くやっています。私個人は、嫁姑の仲はうまくいっていますので、あれなんですが、この判例の判旨に、裁判官の価値観が色濃くでている、聞き捨てならない言い回しがありましたので、以下、一部を引用いたします。
「・・何しろ未だ年若く、しかも一般に嫁がしゅうと(舅)やしゅうとめ(姑)に仕えるという風潮がなく、そのような教育の施されることのない現代であってみれば、原告にしゅうと(舅)やしゅうとめ(姑)に対する心構えをあまりきびしく求めることは酷であるといわなければならない。現代において、夫婦と夫の両親が同居するという家庭においては、嫁の方よりむしろ夫の両親の方が息子の嫁と仲良くやっていくことにより細心な神経を使うべきであり、昔のように単にしゅうと(舅)やしゅうとめ(姑)としての立場から嫁を指導していけばよいというものではないというべきである。○○(姑)証言の中に、・・(省略)・・「自分はしゅうとめ(姑)に強くあたられ、炬燵(こたつ)やぐらをひっくり返されたこともあるが、それからみればあなたの娘はそんなことをされないだけでもいい」ということが述べられているが、もしこのことが真実なら被告○○(姑)のとんでもない時代錯誤的感覚であるといえよう。・・・」
この裁判例は約30年あまり前の昭和52年の判決なのですが、現在においても、「嫁の方よりむしろ夫の両親の方が息子の嫁と仲良くやっていくことにより細心な神経を使うべき」という考えは、一般的には浸透しているとは言いがたいと思われ、昭和52年当時としては、画期的な判決内容だなぁ(というか、このご家庭のお姑さんすごいなー)、と個人的には感じています。
この裁判例はさて置くとしても、
慰謝料請求をしたいと考え、ご相談にこられる際は、何らかの客観的証拠を持参されると話が早く進みます。日常生活の中で、証拠を集めるという視点はなかなか持ちにくいですが、ガッツリ慰謝料を取るためにも、何か怪しいな、と思われることがあれば、普段から証拠を集めておくことをお勧めします。
次回は労働問題についてお話をする予定です。
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